二足歩行の功罪
- tanizawae
- 2014年10月19日
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直立二足歩行をしたアウストラロピテクスが現れてから400万年。それでも、6000万年以上の、四足歩行をする哺乳類の歴史からするとまだ日が浅いといわれます。
直立二足歩行の最大の利点は、体幹が直立して巨大な頭部を支えることが可能になり、その結果大きな脳を備え高い知能を得ることができるようになったというものです。また、前脚が歩行の道具から開放されることにより、他の物体を操作したり、他の個体とのコミュニケーションが図りやすくなりました。直立二足歩行がものづくりや高度なコミュニケーションの能力のルーツといえなくもありません。
反対に、欠点としては、体のバランスをとるのが難しい、重力のため、上体の重みを受ける骨盤、下肢や内臓に無理が生じやすい、胸郭や骨盤で覆われるべき体幹の前部が露出している、さらに、内臓を保持する必要から骨盤底骨が発達しており、出産に困難がともない、胎児を小さく未熟な状態で出産しなければならないことなどがあります。(参考:ウィキペディア)
ヒトの体が、どのように重力の影響を受けやすいかということは、宇宙ステーションやスペースシャトルなどでの生活からも研究されてきました。
日本人女性初の宇宙飛行士で医学博士である向井千秋さんは、帰還後も、宇宙医学という分野でそのことを研究しています。
地上では重力がはたらくため、体液や組織液の水分は下半身にたまります。無重力では体液が上へ移動し、顔が浮腫んだり眼球が飛び出そうに感じたり、鼻がつまったりするそうですが、それも2、3日すると体が適応するそうです。
ところが、骨と筋肉に関しては、宇宙には慣れず、宇宙にいればいるほど、骨に含まれるカルシウムがどんどん少なくなっていくし、筋肉も弱くなってしまいます。
重力のはたらく空間はもとより、重力のはたらかない空間においても、骨や筋肉には無理がかかります。高度な人間らしさの代償としての運動器の負担の大きさを感じずにはいられません。
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