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差出の磯の千鳥

  • tanizawae
  • 2014年10月28日
  • 読了時間: 2分

 差出の磯にまつわる古歌には、古今和歌集の「しほの山差出の磯にすむ千鳥君が御代をば八千代とぞなく」のように、度々チドリという野鳥が登場します。

 昭和51年の調査により確認されたコチドリ、イカルチドリなどはチドリ目の鳥の総称で、昭和55年には、山梨市の「市の鳥」にも指定されています。

 この鳥(の仲間)は、渡り鳥でも、旅鳥といって、移動範囲が広く、夏には、産卵、子育てのため、エサとなる昆虫の多いシベリアに、冬には、越冬のためオーストラリア・ニュージーランドなどの南半球に渡り、現地の夏をすごします。

 つまり、厳しい冬を挟んで、北半球と南半球を行き来する、その途中、春の北上と秋の南下の際に、中継地として日本に立ち寄るというわけです。

 ラムサール条約締結国会議で採択された「東アジアからオーストラリア地域・シギチドリ類湿地保全ネットワーク」には(2007年12月現在)12ケ国45ケ所が参加していて、日本でも谷津干潟(千葉県)、吉野川河口(徳島県)、漫湖(沖縄県)、東京港野鳥公園(東京都)、鹿島新籠(佐賀県)、大阪南港野鳥園(大阪府)、球麿川河口(熊本県)、藤前干潟(愛知県)の8カ所が登録されていますが、それらの地区のすべてが、また12ケ国45ケ所まで含めてもほとんどが干潟や河口です。

 海のない山国で、磯に差し出た岩の上から、千鳥の声を聞き、富士山と、稜線に昇る名月を臨む景観に、古来多くの歌人、俳人、学者、官吏らが遠方から訪れたり、想像をめぐらせたりしながら作品に取り上げていました。この景観は、冒頭の一句が、その前段「我が君は 千代にやちよに さざれ石の 巌(いわお)となりて 苔のむすまで」に続くことからも、長年に渡って多くの人々から慕われてきたことが偲ばれます。

 
 
 

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